2012年12月27日木曜日

序章Ⅱ <1>


部屋の照明を全て落とし、ランプに火をつける。
ゆらゆらと絶え間なく形を変える炎を見つめていると、
なぜか心が穏やかになった。
ソファに深く体を沈め、そっとまぶたを下ろすと、
炎の残影が微かに浮かんでいた。

 シャワーを浴びたばかりの火照った肌が、
開け放した窓からの夜気で冷えていくのがわかる。
風を受けた炎が大きく揺らめき、レイアは薄く目を開けた。

 自分を救えるものなど誰一人としていないのだと、
手首の傷が大声で訴えているのに
、こんなにも救われたくて仕方なく、見捨てられたくて仕方なく、
混乱した頭を冷ますには、炎を見つめるのが一番いい。

炎の中には何かが映るのだという。
今一番望むものを映すのだという。

レイアは、その中に何も見えないので、
自分は何も望んでいないのだと考えかけて辞めた。
炎の向こう側に、人影を見つけたから。

 彼は、怒っているような表情でドアのところに佇んでいたが、
手に持った二つのコーヒーカップをちらりと見ると、
小さく息を吐いて歩み寄ってきた。

テーブルにカップを置くと、
ベッドから毛布を取ってきてレイアの目の前に立つ。
レイアはその様子を逐一目で追って、無表情のまま彼を見上げた。

「邪魔をしたなら謝るが、今起きているのは感心しない」
「死にたいのか、とはもう問わないのか?」

「返ってくる答えはもう知っている。
何度も聞かされたからね。
ベッドに入って大人しくしていることが出来ないのなら、
せめてそんな薄着でうろつくのだけはやめてもらいたい。
私の寿命が縮まる」

彼の言葉に、レイアは肩をすくめて手を伸ばした。
彼が手渡してくる毛布を肩からかけて、
ランプに金属の蓋をする。

窓から漏れてくる月明かりに目が慣れるのに、
時間がかかるだろうと思われたので、
レイアは目を閉じてソファの上に横になった。

ベッドに行けと叱られるかと思ったがそれはなく、
彼が傍で跪いたのがわかった。

頬に触れられ、目を開けることを禁じるように大きな手が覆う。

唇を柔らかく押し包むものがあり、レイアは全身から力を抜いて、
彼に身を任せた。口付けに性急さはなく、
ただ途轍もなく大きく暖かな愛だけが、レイアの心を満たしていた。

望むものがないというのなら、
それはきっと全てを手に入れているから。
これ以上の幸福はないと思っているし、
これ以上の幸福を得ようとも思わない。

例えそんなものがあったとしても、
それを得てしまうのはあまりにも恐ろしいのだ。
失うことしか考えられないなら、いっそ求めることも止めてしまう。

今ここにあるものだけで満足していれば、
きっとそれ以上傷つくこともないのだ。

目を開くと、間近で彼が見つめていた。
レイアは、無表情を崩して微笑を浮かべる。
彼は、一瞬驚いたような顔をして、
次に涙を堪えるように眉を寄せた。

しかし、涙は彼の意を反して流れ出る。

頬を伝う雫を、レイアは親指でそっと拭ってやった。

「……泣くな、エディ」

名を呼ぶと、彼は堅く目を閉じ、そして開いたが、
涙は止まることがなかった。

レイアは、エディの頭を胸元に抱き寄せる。
エディの体は小刻みに震えていた。
いたわるように、そっと髪を撫でる。

エディは、しばらく泣き止むことが出来なかった。


つづく



(2006年2月22日発行 個人誌より転載)

2012年12月25日火曜日

序章Ⅰ <7>

 暖かいものが唇に触れていた。


頬にかかるものがくすぐったいので、
おそるおそるに目を開いたアエンに、
サファイアが微笑みかけていた。

ルドルフの髪が頬をくすぐり、
今まで触れ合っていた唇は、何か言いたげに動きかけたが、
すぐにまた口付けによって塞がれた。

雪の上に、横たわっていた。寒くはない。
なぜか、腹の辺りがひどく熱かった。

「……ルドルフ……」

何か言おうとしたが、なんと言えばいいのかわからず、
アエンは黙ってルドルフを見つめていた。

ルドルフは、アエンの首筋にぬくもりを探るように顔をうずめて、
そっとその頭を抱きしめた。

「あなたは……何者だったんだ……?」

アエンの問いかけに、ルドルフは小さく首を振り、
そして顔を上げた。

「ファロウは正しかった」

「……?」

「お前を守るためには……お前を生かすためには、
私を殺す必要があった」

ルドルフが何を言っているのか、
アエンには理解できなかったが、ルドルフ自身にも、
アエンには到底理解できるわけがないという、諦めの色があった。

「私はね、アエン。……人々は私を不幸と呼ぶよ。
そしてまた、幸福とも」

「……」

「たしかにそうなのだと思う。
しかし私自身は、ただの虚無の塊なのだよ」

そう言うルドルフの瞳があまりに悲しいので、
アエンは柔らかく抱き寄せた。
頬に冷たい感触がして、また雪が降り始めたと知った。

「もう……いい」
「アエン……?」

「あなたが何者でも、
あなたと過ごした時間は何にも換えられないし、
私は誰よりも幸福だったと、言えるから」

ルドルフが一つうなずく。
アエンは、そっと吐息して、眠気が迫ってくるのを感じた。

寝てしまうわけにはいかないと思ったが、
急速に引きずり込まれるように、眠りに落ちてしまった。



 ルドルフは、アエンの腹からナイフを引き抜き、
ゆっくりと立ち上がった。

息絶えたアエンの姿は、あまりにも美しく、
血の紅は、どこまでも穢れなく、
ああ、まるでお前そのものだと、ルドルフは目を細めた。

夜着を羽織っただけの体に、雪が降る。
ルドルフは、ナイフを握り締めたまま、
一歩、また一歩と歩みだしていた。

不意に振り返り、見上げた先の窓に幻を見る。

いや、どちらが幻なのかはわからない。
ルドルフは、窓の向こうからこちらを見ているアエンに微笑みかけ、
おもむろに手にしたナイフで、首筋を掻き切った。


 鮮血が噴出し、純白の雪を染めていくのを、
ただ衰弱した太陽が見守っていた。


おわり

2004/11/12  Asami Kamio


(2006年2月22日発行 個人誌より転載)

2012年12月24日月曜日

序章Ⅰ <6>



暖かな陽光を浴びて、プラチナブロンドが輝き、
楽しそうにステップを踏む素足は、
やわらかな土の感触を喜んでいる。

薄い布を体に巻きつけただけで、軽やかに舞うあなたを、
飽くこともなくひたすら見つめていた。

あなたは口元に笑みをたたえ、瞳を閉じて踊る。

私はそして、あなたの体を抱き寄せて、
少しだけ驚いて、見上げてくるあなたの額にキスを贈る。
幸福そうなあなたを、今、初めて抱きしめる。

愛することに、愛されることに、苦痛など感じる必要はないのだと、
ようやく理解した美しいあなたを。

私は、抱きしめる。





 立ち尽くすアエンの背後に、立つ者がいた。

「……ルド?」
「だんな様?」

マリアだった。

「どうかなさいましたか?」

「……マリア」
「はい?」
「彼は……どうした?」

「彼? と、いいますと?」

アエンは、絶対にあるはずがない、
ある最悪の可能性を、不安を否定するために、
マリアを振り返った。

「ルドルフは、ここを去ったのか?」

マリアは、しばらく無言でいたが、やがて首を振った。
ほっとして、くだけそうになる脚を懸命に支えるアエンに、
裁断が下された。

「去るどころか、はじめからそんな方は、
いらっしゃいませんでしたよ」


つづく


(2006年2月22日発行 個人誌より転載)

2012年12月18日火曜日

序章Ⅰ <5>


アエンを探して温室に入ったはずだった。

ファロウはその場に満たされた、
あまりに濃厚な薔薇の香りに脳内を冒されていくのを感じていた。

まるで麻薬だと思った。

アエンを探している本来の理由がぼんやりとなる。
足がどんどんバカになる。

ぐるぐると回転するような視界で、こちらを振り返った者があった。
突如として温室に据えられたベッドの上に座った、金髪の麗人が。

「誰だ?」

彼が誰何した。
ファロウは答えず、ふらつく足で歩み寄った。

『アエンをどこにやった』
「アエン……?」
『答えろ、アエンはどこだ』

悪魔め。

低い呟きが、ルドルフを恐怖に陥れた。

その細く白い喉から、空気を切り裂き、
全てを悲しみの底に叩きつけるような、
あまりにも悲痛な叫び声が迸った。

 「出ろ」
眼球の奥を刺す光に、目を細める。
「……もういいのか?」

「全ては終わった」

いかめしい制服に身を包んだ警官が、手を差し伸べていた。
地下牢の床に長いこと蹲っていたので体中が痛い。
アエンはその手をとって、立ち上がった。

「それでも私はギルティなのかな」
「いや、それはない」

「無罪の人間をこんなところに監禁するには、
いささか理由が不完全だったことだしね」

アエンは、一つため息をついて、「まあいい」と言った。

「結局、国家権力が私をギルティとした理由は何だったんだい?」
「元老院関係者の血統であったあなたが、
解散計画に加担するとはどうしても信用できなかっただけだ」

「なるほど、それで隔離したわけだね。
……まあ、結果として事態は解決したわけだ。
役に立ったと理解しておくよ」

「ご協力感謝する」

アエンは、差し出された自分のステッキを乱暴に受け取って、
肩をすくめる警官の脇をすりぬけ、早足に歩き出した。

暗闇の中で、いくつもの幻を見た。
その全ては、ルドルフの形をしていたが、
どれもルドルフではなかった。

……怒っているだろうか。
突然拉致されたので、ファロウにすら連絡が出来なかった。

元老院関係のことで動いていた彼なら、
あるいは初めから知っていたやも知れぬが。

アエンは、馬車に乗る前にふと背後を振り返った。
……誰かに呼ばれた気がした。

(……気のせいか)

風が大きくアエンのマントを膨らませた。

アエンは目を閉じて風が過ぎ去るのを待ち、
収まったころにもう一度後ろを見て、馬車に乗り込んだ。


 家に着くと、馬車を降りるアエンに、マリアが駆け寄ってきた。

「だんな様!」
「マリア……」

マリアは、ほつれてしまった髪を押さえながら、
アエンの前で一礼した。

「警察からは昨日電報が届きましたわ。
大事ございませんか?」

「ああ、大丈夫。……一種クーデターだったんだ。
多少の犠牲はやむをえん」

「すぐにおやすみになってください。
お食事もご用意しますから」
「……ありがとう。温室にいるよ」

 今すぐに、あなたに会いたい。
アエンは、はやる気持ちを抑えながら、温室に向かった。




扉を開けると、薔薇の香りに包まれた。
アエンは、マントを脱ぎ、ステッキを置いて、歩き出した。

心地よいお気に入りの場所なのに、何かそぐわない。

ふと手近の薔薇を見ると、どこか元気なく萎れていた。
アエンの心に、大きな不安が波紋のように広がり始める。

「……ルドルフ?」

空中に、問う。
アエンは初めて、温室の中に人の気配がしないことに気づいた。


つづく


(2006年2月22日発行 個人誌より転載)

2012年12月11日火曜日

序章Ⅰ <4>


目が覚めて、自分が眠っていたことに気づく。
頭が回転していない。
重いまぶたを押し上げて周囲を見ると、そこは自室だった。

柔らかな羽毛布団をそっとのけて、ベッドを降りる。
暖を入れているはずなのに、それでもやはり窓辺では息が白くなった。

 ……自分が何かを忘れている自覚はあったが、
果たして何を忘れているのかは思い出せなかった。

はらはらと空から舞っているものがあった。
……雪だ。庭を見ると、もうだいぶ積もっている。
点々と、青白く光る足跡を見つけた。

それを辿って、アエンは息を呑む。

 薄い夜着を、肩に羽織っただけのルドルフが、
空を見上げて佇んでいた。
そんな姿では凍えてしまう、
と外に飛び出すために動かそうとした足は固まってしまった。

 アエンを固定するように、
後ろから伸びてきた手が窓を押さえた。

ガラスに映ったその顔を見て、血液が逆流する。

首筋に口付けられた。
下半身を撫でられ、侵入してくる指は、
まるで長い時間外気にさらされていたように冷え切っている。

一度目を閉じ、再び開くと、庭の足跡はなく、
ルドルフは今まさにアエンを求めて切ない口付けを繰り返していた。

幻を見たのだ、とアエンは自分に言い聞かせ、
下半身に伸ばされているルドルフの手を掴んだ。

体を反転させて窓に押し付け、唇を重ねる。


<中略>


「……あなたは何者なんだ……?」

ルドルフが口元に不思議な笑みを刻む。
アエンの手をとって、その指を口に含み、
誘うように舌をちらつかせる。

アエンは、床の上にルドルフを押し倒して、
上からその瞳を覗き込んだ。
指を絡めてカーペットに固定する。

プラチナブロンドが広がって波打ち、
窓からもれてくる弱々しい日光を乱反射した。

「私はね、アエン……」

ルドルフは、重要な告白をするように潜めた声で言った。

「お前でなくとも良かったのだよ。
他の誰だって……私を抱くことが出来るのなら」
「……私である必要はなかったと、そう言うのか」

「そう」

ルドルフは、すっと目を細めて、口元の笑みを深くした。

「愛する必要も愛される必要もない。
ただ……排泄のためだけに私を傍に置けばいい。
それならば、離れるときに心を痛めることもない」

「……ルドルフ」
「それなのにお前は……いや、私は」

ルドルフの目尻から、雫が流れた。
それはただ一筋だけ流れて、何事もなかったかのように消えた。

「私は……お前をかけがえのないものだと、思ってしまった」

アエンが、目を瞠く。

「……愛されたいと……お前を愛していると」

ああ、ルドルフ……。あなたはなぜそんなにも、
苦痛に満ちた瞳で愛を告げるのか。
あなたの苦しみの根源に私がいるならば、私は自殺すら厭わないよ。

「許して欲しい……」

こんなつもりはなかった、と呟くルドルフの唇を、
アエンはいたわるように塞いだ。


つづく


(2006年2月22日発行 個人誌より転載)

2012年12月4日火曜日

序章Ⅰ <3>


日没後のライトアップされた温室は、
夜舞い降りる黒い天使の居城にふさわしい。

ファロウの屋敷から帰ったアエンは、
ルドルフの姿を探して温室に入った。
ベッドを覗くが、人の気配はない。

不安ばかりが募り、アエンは知らず早足で薔薇園を歩き回った。

薔薇園はやがて終わりを告げる。
スポットライトを当てたように、ぽっかりと開いた空間で、
アエンはその足を止めた。

 息が止まるかと思った。

言い知れぬものが、アエンの胸を占め、思考を奪った。
果たしてそこに、ルドルフがいた。

金糸のような長い髪を床に広げ、
全裸の白い肢体を仰向けに投げ出して、
温室の奥にしか咲かない青い薔薇を、
体の上に散りばめて眠っていた。

まるで、青い翼の天使が、そこにいるようだった。
 あまりにも美しくて、アエンは体を動かすことができなかった。

よく見ると、ルドルフの右手は血にまみれていた。
アエンは、ようやく我に返り、ルドルフの傍に跪いた。
眠っていると思ったルドルフは、気配に気づきそっと目を開けた。

「ルド……遅くなってすまなかった」
「……」

ルドルフの、サファイアのような両目に涙が浮かぶ。
それすらも美しくて、アエンは眩暈を覚える。
なぜ、この人はこんなにも悲しい美しさを持っているのだろう。

「心配をかけたね。夕刻には戻ると……そう言ったのに」
「いい……今……そこにいるのなら」
「何も良くないよ」

アエンは、ルドルフの頬に幾筋もの涙の痕を見つけて、そっとなぞった。

「私のいないところで……あなたが泣いていたのだから」

ルドルフがゆっくりと、三回瞬きをする。
その間に、頬に、額に唇を寄せ、
アエンはルドルフの体に覆い被さった。

ルドルフは、指一本動かさず、ただ静かにアエンを見上げた。

「……私は謝らなければならないな……」

ルドルフがつぶやく。消えそうな声だった。

「お前に断りもなく、体を傷つけた」

「……薔薇を毟ったんだろう。
あの棘は、あなたの肌には少しきついだろうね」

「……そうじゃない」

問うように瞳を覗き込むと、
ルドルフは投げ出した自分の右手を見た。

……何故気づかなかったのだろうか。
アエンは気が遠くなるのを感じた。
ルドルフは、左利きだったのだ。



 「お待たせしておりますね」

声をかけられて、ファロウは本に栞を挟み、首を振った。

「私が早く着きすぎてしまったのです。おかまいなく」
「焼き菓子はいかが?」
「ありがとう。十分いただいています」

「紅茶を淹れ直しましょうか」
「……ええ。いいえ、結構」

白髪を結い上げた、清楚な老女中は、
ふっと笑って窓辺に歩み寄った。
そこからは、温室が見える。

「あの、マリア」

マリアは振り返り、少し首をかしげた。

「あなたは今でも……彼を追い出すべきだと思いますか」
「思いますよ」

マリアの言葉に、何かを言い返しかけたが、
ファロウは結局、少し視線をそらしただけだった。

「しかしね、そんなことをするまでもないと気づいたのよ」
「彼は、いつか死ぬとお思いですね」

ファロウの言葉に、マリアは少し笑って首を横に振った。

「たしかにルドルフには危ういところがありますけど、
彼は死を選ぶより早く、あの温室を出て行きますわ。
誰にも何も告げず、まるで風のように」

「それは……」
「私が追い出すわけではありませんのよ。それが彼の生き方だから」
「アエンは、どうするでしょうか」

「夢を見ていたのだ、と思い込むより他に、手段がありますか?」

マリアの声に、少しの哀れみを感じ取って、
ファロウは少し俯き、両手を組んだ。

「……何者なのでしょう」
「わかりません。……あるいは、ルドルフ本人にすら」

マリアは、窓に手をかけ、少しだけ開けた。
微かに、温室の方から薔薇の香りが流れてくる。
ファロウは、すっかり冷めてしまった紅茶を、一口含み、目を閉じた。

「幸福だとは思えません。そんな愛が。
……いいえ、それを愛と呼んでいいのかもわからない。
しかし……アエンは、確かに幸福なのだ」

「そうですね」

マリアの視線を感じて、顔を上げる。
彼女は、まるで母親のような目をしていた。
そして、にっこりと笑い、マリアは窓を閉じた。

「初めてではございませんのよ」
「?」

紅茶のカップをトレイに載せながら、マリアが言った。

「あんなふうに、この家に途轍もない幸福と、
不幸が吹き込んできたのは」

「それは……」

マリアは、軽く一礼してそこを退出する。
ファロウは、口元に手を当てて考え込むように眉根を寄せたが、
吐息と共にそれを吐き出した。


つづく


(2006年2月22日発行 個人誌より転載)