暗い室内で、レントゲンフィルムを映し出す明かりだけが、
頬に反射していた。
エディは、目瞬きもしない。
険しい表情で、じっとフィルムを睨み付けている。
先刻から、その様子を見ていたレイアは、声をかけるのを諦め、
室内に足を踏み入れた。
こちらには気づいただろうが、エディは反応しない。
レイアは、少し身を屈めて、エディを後ろから抱きしめた。
涙こそ流していなかったが、エディが泣いているのを感じた。
「……深く考えることじゃない」
耳元にそっと囁く。まるで睦言のように。
「大丈夫……きっと」
「……何が」
「わからないよ」
エディが、こちらに身を持たせた。
その重みを受け止めて、レイアは腕に力を込めた。
「でも、エディ。大丈夫だ。そう思っていれば、大丈夫」
「あと二週間だ」
唐突に、エディが言った期限が何を表すのか、レイアは瞬時に悟った。
そして、小さく吐息し、頷く。
「それだけあればいい」
エディが、レイアの腕に手をかけ、確かめるようにさする。
それに応えて首筋に口付け、
「充分だ」
強く言った言葉が、エディの涙を止める堰を崩した。
子供のように声を上げて泣くエディを、じっと抱きしめる。
じっと……抱きしめる。
つづく
(2006年2月22日発行 個人誌より転載)
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